メンタルトレーニングは凄い

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国分寺市歯科医師会主催の「学術講演会」が、平成24年5月19日(土)午後6時半から行われた。演題は、「自分の力を120%引き出すメンタルトレーニング」。講師は「高畑好秀氏」である。そう、プロ野球のイチローや水泳の北島康介をはじめ世界のトップアスリートのメンタルトレーニング指導を行った事で知られる方である。

10分前に会場の左前列に着席。一番前で聞こうと言うわけである。右側には主催者のテーブルと椅子が用意され、司会者と思しき方と歯科医師会の会長の顔が見える。そして会長の側に一人の「おっさん」らしき人の姿が。

開演である。お!あの「おっさん」らしき人が演壇に登場した。
黒いTシャツにジーパン姿である。配布資料なし。パワーポイントなし。講師は資料も持っていない。私のイメージは、講師の形は「背広にネクタイ、資料が配布され、内容はパワーポイント」であったので、ちょっとびっくり。その後、高畑氏の話に引き込まれるのだが、いかに人間の先入観がくだらないものかを思い知らされる。

以下は、私のメモを元に記憶をたどって書いたもので、多少表現や事実と違うことがあるかも知れない。講師の高畑氏の広い心でお許しをいただきたい。

全体の雰囲気は、講演というよりは、会場と一体感を感ずる講義のように思えた。

まず、会場への質問。「努力は必要か?必要と思う人は手を挙げて」…。
私も含めてほぼ全員が手を上げた。講師の言葉。…人間は思い込みが多い。ここにいる方も努力は必要だと思い込んでいる。例えば、子どもは小さい時に自然に言葉を覚える。また、子供は知らないことを知りたいと思う好奇心を持って様々なことを覚える。非常に勉強家なのであるが、この自然の好奇心が、大人の理屈でいつの間にか「努力して覚えなければならない」というように置き換わってしまう。それは何故か。こんな問題提起から講演は始まった。

次の質問。「継続は力か?」 …。
またしても、私も含めてほぼ全員が手を上げた 。しかし、正しい継続でなければ意味がない。感覚だけで同じことを継続しても意味のないことを教わる。

スポーツで「脇を閉めることが重要」と言う。会場の全員が、実際に右手を前に出し「小指と薬指に力を入れる」…そうすると手の平が上を向き自然と脇が閉まる。これを実感する。逆に親指、人さし指、中指に力を入れると、脇が甘くなることを体感する。早く走るためには、「腕を前に出す。そうすれば体が自然に前についていく」このような理屈が大事である。ただやっても駄目、間違った事を継続しても駄目であって、理屈による継続が必要であることを強調された。

イチローがバッターボックスで行う動作の意味は。実はあれは「バットの重み」を確かめているのだそうだ。イチローから講師が質問されたことがあったそうだ。「二つのボールを持ちどちらが思いか?」であった。講師は「公式ボールだから同じだ」と答えた。イチローは「こちらのボールは湿り気が多く重いのだ」と答えたそうだ。イチローの野球は、刻々と変わる湿度の変化でバットの使い方を微調整しているのだそうだ。バッターボックスに立ち同じことを継続するにも、そこに理屈がある。理屈のない反復、継続は意味がないのである。こんなことを強調される。

こどもに鉄棒の逆上がりを習得させる「理屈」も披露された。具体的な教え方は納得。むやみに練習しても駄目、この理屈を教える人が少ないことも付け加えられた。

次の質問。「試合は勝たなければ駄目か?」…。
勝たなければ意味がないと教える指導者が多い。そこの先入観が邪魔して本来の力が出せない結果となる。「試合」は字の通りで普段やっている事を試すだけ。勝敗は結果である。
要は「自分は何をしたいのか。これが大事。自分のスタイルが大事なのである。」ゲームソフトの勝負、皆さんはなぜ次のステージに進むのでしょうか。ファーストステージだけであれば勝ち続けることが出来るのに。負けるかも知れない「高いステージ」に挑戦するのでしょうか。そう、勝ち続けるとつまらなくなるからである。ダルビッシュの言葉「日本では勝ち続ける。これではつまらない。だから大リーグに挑戦した。」素晴らしいことだ。

次に「指のリング」の体験。
若い参加者が登壇。右手の親指人さし指でリングを作らせ力を入れさせる。講師が両手でこのリングを離そうとする。一定の力が必要なことが分かる。次にこの若者に「今まで人生で失敗したことを思い浮かべるよう」促す。若者は受験の失敗だと発言し思い浮かべる。こうして先ほどのリングを講師が離そうとすると「簡単に離れてしまう」。次にこの若者に「今まで大成功したことを思い浮かべるよう」促す。こうして先ほどのリングを講師が離そうとすると「離そうとするのに相当の力が必要」。講師の体に力が入る。

信じられないような会場の雰囲気。実際に隣の方とやって見るように促される。私の隣は「国分寺市の医師会長」。緊張しながらも実践。「俺は駄目だ」と10回発声してやって見る。また、「俺は凄いのだ」と10回発声して実験して見る。うそのような結果にびっくり。会場全体に驚きの歓声が上がる。

失敗と成功のイメージがこの結果を生むことを教わる。左脳は思考、右脳はイメージを司る。いずれもプラスとマイナスの指令によって力の出し方が違う。これが先ほどの結果の理由であることを教わる。スポーツ選手が怪我をした場合、体をギブスで固定していても脳からのイメージトレーニングをする。頭の中で体を動かす訓練をするのである。そうすると実際に筋肉が反応し、その後の回復が早くなるのだそうだ。

だんだん不思議思議な世界に入ってくる。

次に「体を持ち上げる」体験。
再び若者が登壇。講師を後ろから抱えて持ち上げるよう促す。実際に持ち上げるが結構重そう。次に講師が15秒くらい「考え事」をする。再度持ち上げるよう促す。若者が頑張るがずいぶんと重そうで持ち上がらない。次にもう一度講師が「考え事」をする。再度持ち上げるよう促す。若者が挑戦すると軽々と持ち上がる。会場は狐につままれたような驚きが…。

講師の種明かし。持ち上がらなかった時は「自分の重心をイメージで足に置いた」軽く持ち上がった時は「重心をイメージで頭のてっぺんに置いた」この違いであると。

スポーツでは重心を下げるイメージトレーニングを行う。重心はへその部分「丹田」である。「腹を決める。」というのも理にかなっている。また叩く所にイメージが集まる。相撲で腹のまわしの部分を叩くのもこの理由からである。

次に「相手の片腕を持ち上げる」体験。
若者が登壇。左腕を前に出させ力を入れさせる。講師がこの右腕で上に持ち上げる。講師が体一杯に力を入れ、若者の腕を上げようとする。なかなか上がらない。次に、しばらくして若者と対峙し何となしに腕を持ち上げる。先ほど上がらなかった若者の腕が軽々と上がる。ここまで「信じられない現象」が続くと、講師が神様・全能の神に見えてくる。公演が始まった時「おっさん」だと思った人が…。

「頑張らないことが大事なんだ!」と講師。
会場から「え!」と驚きの声が。本当にこの人は、私の常識を根底から否定してくれる。私もメンタル面で病んでいる職員には「頑張れ!」というのは逆効果であることくらいは知っている。でもごく普通に「頑張ってください」「頑張れ!」という言葉をいかに多く使ってきたことか。

講師によると、頑張るほど力が出せないのだそうだ。そう思うほど「頑張るためのスイッチが入って逆効果になる」というのである。「頑張らない。力を入れない。自然体でいる。」ことが帰って力を出すことが出来るのだそうだ。先ほどの腕を持ち上げる時、最初は体中に力を入れて頑張ろうとした。かえって力が出せないで腕を持ち上げることが出来なかった。その後は頑張ることを止め、自然体で腕を持ち上げた。これを習得すれば、皆さんも力士を押し出すことができる。「ええええ!本当かよ。」

講師によると「火事場のクソヂカラ」も説明できる。頑張ろうスイッチを入れないで、自然体が重要なのだそうだ。

次に「体の硬い人は!」
国分寺市の保健課長が登壇。体を前に屈め、腕を床まで伸ばす。床まで20センチはある。その後、講師が「瞑想」させる。同様にうでを伸ばす。もう少しで床に付きそうだ。「いやいや信じられない気もする。最初はわざとではないか。」でも講師によると、「体が固い人!」と呼びかけられて、すでに「自分は体が硬い」という先入観で挑戦すると最初の結果。次に「自分は体が柔らかい。出来るのだ」と思い込ませた結果が次の結果なんだそうである。


質問!「人間とイルカはどっちが早いか。」
会場の一人を除き人間という答え。講師は水泳の選手団全員に同じことを聞いて見たことがあるそうだ。北島康介だけは「人間だと答えた」そして「イルカよりも早く泳ぐ工夫と知恵をもつことが出来るのは人間だ。自分はそれに挑戦する。」と言ったそうだ。この時点で講師は、「北島はまた金メダルを取る」と確信したそうである。
「イルカは水中で生活、人間は陸上だ」これが大半の答えだが、「では金魚は人間より早いか」答えられないではないか。ちょっと比較が飛躍しているような気もするが、皆が先入観をもっていることは事実だ。皆さんは、最初から結果をイメージしていないか。諦めていないか。最初から出来ないと思ったらつまらないでしょう。常に高いハードルを課し出来ない理由をつけないことが大事なのではないか。


質問!「ブラジルまで一番早く行く方法は? 」
会場から「まっすぐ穴を掘る」と発言が。ちょっと笑いが…。 「飛行機だと思う人?」会場の大半が手を上げる。講師いわく。私は「何処でもドア」だ。「え!今度は[どらえもん]か。」情報の内側からチョイスすると飛行機だ。でも情報の外側にイメージを膨らませると、「何処でもドア」だ。つい最近まで飛行機もなかった。無から有を創造した人たちによって飛行機も「情報の内側」に存在するようになったが、過去においては「人間が空を飛ぶ」という「情報の外側」にあったものだ。イメージ、創造を膨らませることが重要ではないか。常にプラス思考で。しかし、思考も論理的思考でなければならない。単なる夢ではないからだ。論理的思考による夢は実現されると思う。それが出来るのは自分だということを信じること。

この人素晴らしい。講師の生き方をだんだん自分の今までの行き方に重ね合わせる自分がいた。

かって、講師はピアニストを諦めきれないが不動産会社に就職しようとした女性の相談を受けたことがあったそうだ。そこで「美術家ピアニスト」という名刺を作り関東周辺の美術館を回れ。とアドバイスした。美術館で芸術を見ながらその作品にあったピアノ演奏がある。それを直感的に発想したのである。この発想が浮かんだのは、この女性の「ピアノが好きだ。諦めきれない」という情熱だった。その女性は即行動し、美術館回りを実行。複数のオファーがあった。「美術家ピアニスト」という職業が出来た瞬間である。今では世界の美術館に後輩を派遣する第一人者になった。こんな話を披露された。

講師が「メンタルトレーナー」という職業を作った。そしていままでの生き方は、「失敗した時は反省しない。」ことだそうだ。さっさ忘れること。「成功した時こそ反省すること。」が大事だそうだ。理屈を確かめる癖をつけると、次にまた成功する可能性がある。講師の独特の哲学と人生観だ。そして最後に、器を大きくすれば、その中で勝負出来る。特別のスポーツだけでなく全てについて。そのためには心の免疫力をつける事だ。と締めくくられた。


62年の人生の中で、様々な講演や講義を聴く機会があった。例外を除けばいずれも意義のある内容であったと思う。なるべく記録を残し、そこで学んだことは自分で吸収しようとしてきた。良いものは「まね」をしてでも自分のものにしたいという思いからでもあった。また、その機会を出発に自分で学習し深い知識を身に付ける多少の努力(必要かどうかは別として)をしてきたつもりだ。

しかし、今回の「高畑氏」のお話は、別世界の話であった。次から次へと自分自身の既定概念を否定されたような気もした。また、高畑氏の生き方に、いつの間にか自分を重ね合わせ、共通点があることにも気がついた。
私がこの講演に、他の講演会と異質の感動を覚えたのは、高畑氏のオーラに同調させられたからではないかと考えるようになった。たった3時間で。


私自身も人前で講義する機会がある。その短い時間で参加者に技術的な知識だけでなく、自分の生き方や生き様など「オーラ」らしきものを伝えることができれば良いなと思う。また、それに同調してくれるよう、自分自身が「前向き」で「+思考」で「創造的」「論理的な夢」を持つ生き方に挑戦することが重要であると思う。そんな生き方ができるだろうか。




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